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晩秋

 英語の"autumn"と"fall"は、どちらも同じく「秋」と和訳されますが、英語を母語とする人たちは、この二つを使い分けているそうです。木々が色づいた美しい時期をautumn、それを過ぎたらfallと呼ぶとのこと。なるほど、木の葉が落ちてしまった後がfallなのですね。
 ならば、十勝は今まさにfallです。あんなに赤や黄色や橙色に彩られていた景色は、今や灰色の面積が増えました。寂寥感の漂うこの季節をどう過ごそうか、窓の外を眺めては思うのですが、その答えは、いつも外にあります。
 温かい格好をして、遅い夜明けを待ちます。雲の厚い日は、なかなか太陽の気配を感じられず、少し不安になりますが、晴れた日よりもずっと暖かく、待つことがそれほど苦ではありません。6時を過ぎると、雲が切れた東の空が一気に染まり始めました。水色と、すみれ色とオレンジ色が混ざり合い、そこに精巧な切絵のように木々が影を写します。羽を休めていた白鳥たちが飛び立ち、空と同じ色に染められていく姿をいくつも見送ります。そして、夜の間、川を離れていた水鳥の群れが戻り、鏡面を散らし始めると、いつもの朝の空気に戻ります。ここではautumnとfallの境目は実に曖昧なものだと、思えたりもするのです。

2019年11月11日

カテゴリ
今週のヒューエンス
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