十勝の冬
今年は、もしかしたらこんな景色も見られないかもしれないと、心のどこかで思っていました。もともと帯広は積雪の多い地域ではありませんが、それでも、新しい年が明けてなお、路肩にも畑にも雪がほとんど積もっていないなどということは、無かったように記憶しています。先週初めには、早春のような大風が吹き、雪のない大地から舞い上がる土ぼこりに、街が茶色くのみこまれていくのを見たときは、不気味で胸がざわつく思いがしたほどです。
週末には少し雪が積もり、寒さも戻ってきました。まだまだ雪は足りませんが、安堵感があります。朝の光を散らすダイヤモンドダストの中を、真っ白な息を吐きながら歩き、フロストフラワーの咲く橋の欄干から、霧氷に覆われた街を見る。十勝の冬を体験したことのない人にとってはうっとりするようなおとぎ話の世界で、地元の住人たちにとっては嫌だ嫌だと挨拶代わりに言い合うようなしばれた朝の景色です。でも、これこそ十勝の冬だと嬉しくなった人間も、きっと沢山いると思うのです。
2020年01月14日
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