ふさふさの尾
ここは沢山のエゾリスが暮らしているようです。
人間たちが日曜の遅い朝食につく頃、エゾリス達も活動を始めます。すると、小鳥たちの小さな声が聞こえてくる程度だった静かな森が一変します。頭上からカカカカカッ、カリカリカリッ、キチキチキチッ、といった音が降り始めるのです。視界に入るだけでも4匹や5匹はいるでしょうか。
枝から枝へと、挨拶代わりの追いかけっこがひとしきり終わると、今度は食事の時間です。ぴょんぴょんと大きくジャンプしては、頭を雪に突っ込み、クルミを探し出します。時々、横取りしようとする仲間に追いかけられたりもします。にぎやかな食事風景を連写していると、何やらすぐ近くに気配を感じました。ファインダーから目を離すと、足元に一匹のリスが。「クルミも掘らずに、この人は一体何をしているのかしら?」とでも言わんばかりの、不思議そうな顔で見上げていたのです。
彼らの冬用の尾は夏よりもずっと太く、太陽の光を受けてふわふわとしています。真っ白なお腹は、中央に縦の線が入り、何だか胸板や腹筋がたくましく割れているかのようにも見えます。遠い遠い昔、自前の温かい毛を手放してしまった人間は、どんなに服を着込んでも染み込んでくる寒さに、しばしばブリキの人形のようになってしまいます。君たちのそのあり余る元気が、まぶしくてたまらないのです。
2020年01月20日
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