白は
白鳥は哀しからずや空の青海のあをにも染まずただよふ
ここで言う白鳥はカモメを指すようだとも聞きますが、やはり私はハクチョウを見る度にこの歌が心に浮かぶのです。そして、きっと白鳥は哀しいことはないだろう、とも思うのです。
静寂が破られ、飛び立った一羽は、氷の白よりも雪の白よりも清らかです。
白に覆われた景色はそれだけで、いつ見ても、何度見ても心が揺さぶられるものですが、その中にあってなお、沈むことのない白を彼らはもっています。それで、どうして哀しいことがあるでしょうか。他の白にさえ染まることすら許さない圧倒的な白は、空が青くても、海が青くても揺らぐことはありません。極寒の地を、すっと射貫くように飛び立つ白は、気高いと思うのです。
2020年02月17日
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