小さな友人
青空からひらひらと降ってくるものがあることに気づき見上げると、桜の木に一匹のエゾリスが。新芽をかじっているのでしょうか。食べかすを落としながら、じっとこちらを見ています。ファインダーから目を外した一瞬の隙に地面まで駆け下りてきて、"だるまさんが転んだ"を始めました。2、3歩進んではじっと見つめ、また2、3歩進んで、を繰り返します。もう一匹も加わって、手を伸ばせば触れる距離まで近づいてきては、私の顔を見上げ、ぴょんぴょんと少し遠ざかり、また背後から近づいてきては、足元を駆け抜けるということを交互に繰り返していました。
不思議なもので、最初に高い木の上にいる彼と目が合った時に何となく感じた「きっとあの子はこちらに来るだろう」という予感は当たりました。相手を知りたいという気持ちが、通じ合ったような気がしたのです。立ち上がって歩き出した方向に、彼らもついてきました。小さな友達ができて嬉しい気持ちになった後に気づきました。秋に土に埋めた木の実の場所を覚えていられるほど記憶力の高い彼らは、私の顔を覚えてくれているかもしれません。でも、次に会ったとき、私の方が彼らを見分ける自信がありません。なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいです。
2020年03月23日
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