花が咲く
しばらく続いた寒々しい雨が遠ざかったので、ドライブに出かけてみました。日高の山たちは重たそうな雲をかぶり、大雪の山々も裾野ぐらいしか見ることができませんでしたが、ほんの一瞬の晴れ間が、時折秋らしい陽気をもたらしてくれました。
十勝では見られませんが、狩勝峠を越えた先には、田んぼが広がる地域もあります。稲刈りを終えた田んぼが3割ほどで、麦稈ならぬ稲稈のロールが沢山転がっているところもありました。こういうところは、北海道ならではの景色だな〜と思います。
田んぼの間に点在する畑では、これから収穫期を迎える野菜たちが、今まさに育っている最中のようです。ニンジン畑にセリの花がすらりと咲いているのを見つけて、つい車を止めました。最初は「先祖返り?」などと思ったのですが、何のことはない、薹立ちです。寒い日が続いたからなのでしょう。よく見たら、ほんのりと紅葉している葉も見られます。ニンジンの紅葉というのも、初めて見たような気がします。
花を咲かせるということは、植物にとって当たり前の過程のように思えますが、実は生存へのストレスを感じた時に起こると言います。花が咲かせるには多くのエネルギーをつぎ込まなくてはならないため、葉の成長が止まってしまう植物もありますし、栄養分が満たされた場所で育てられると、花が咲かないこともあるそうです。初夏の華やかな花々と違い、この時期の花には並々ならぬ気迫がこもっているように見えるのは、聞こえ始めた冬の足音に、私たち自身も身構えているからかもしれません。
2020年09月28日
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