ツバメの頃
アマツバメでしょうか。夕暮れ時、橋の近くで飛んでいる姿を見かけるようになりました。そう言えば、カッコウも鳴いていました。やっと、春が来た!と感じられるようになったばかりなのに、もう夏が近いことを、彼らは告げています。春の余韻を味わう暇もないのかと残念でもあり、やりたいことが沢山ある夏の到来を望むところだ!と意気が揚がることもあり、空模様に負けず劣らず気分もうつろいます。
それでも、鎌のような細い翼で、スパッ、スパッ!と空を切るツバメたちの姿は、目で追いかけるのも大変なスピードですが、見ていて心がすっとします。自分の周りに漂う重たい空気を、よく研いだ刃物で、音も痛みも与えずに、すっぱりと切り落してくれているように見えるからでしょうか。鳥たちの世界もまた、この冬はウイルスとの戦いが厳しかったでしょうが、それでも、全力で飛ぶことを、決してやめたりはしないのでしょう。そんな姿がうらやましく映るのです。
もう何年前になるでしょうか。忘れられないツバメがいます。風の強い日、雌阿寒岳の山頂で、取り出したティッシュペーパーを不用意に飛ばされてしまったことがありました。火口に向かって風に乗ってしまったティッシュを、「やってしまった!」と、なすすべもなく見送っていた時、一羽のツバメがそれをキャッチしてくれたのです。もちろん、その後に私の手元に届けてくれる、なんて奇跡は起こりませんでしたが、一瞬見せた、遊んでいるような素振りがとても印象的でした。
十勝にも、空の精鋭たちの季節が来たのだな〜。
2021年05月24日
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