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戦いの火ぶた

 夕暮れどき、カメラ一つ掴んで外へ飛び出していっても、震え上がるようなことはなくなりました。にわかに暑くなった週末、いよいよ虫たちとの戦いが本格化してきました。
 ここ何年かの付き合いですので、常連の顔はよく知っています。でも、アスパラガスのウリハムシやジュウシホシクビナガハムシ、カボチャのアブラムシなど、名前が分かるものはごく一部で、よく見かけるけど名前を知らない虫や、特徴的な容姿なのに同定できていない虫たちが大半です。それでも、顔ぶれは毎年似たようなものですから、「懲りないなぁ」と、こちらはまさに苦虫をかみつぶしたような顔で迎えることになるわけです。
 それに、"駆除"などと物騒な言葉で表されるようなことをしなくて済むなら、その方がずっとありがたいのです。アブラムシは光るものが苦手と聞けば、銀テープで小さなキラキラのポンポンを作って吊り下げてみたり、ヨトウムシは燻した匂いが苦手だと聞けば、コーヒーを土に混ぜたり葉に散布したり、初めから近寄らないようにする方法を、あれやこれやと試します。
 よくよく考えてみると、私の好きな野菜や草花を狙う虫たちは、皆、私自身と好みが同じだからぶつかるのです。自分の取り分が減っても構わないのであれば、いくら虫が食っていようが、気をもむ必要はありません。でもやっぱり、立派なアスパラを食べたいし、カボチャも沢山実がなってほしいし、レタスもルッコラも毎日山盛り食べたいし・・・。虫たちよりもよほど食い意地がはっているということには気づけても、天使の分け前だと、大きな気持ちで彼らのつまみ食いを容認する器は、まだ私の中には育っていません。いろんな意味で、修行のようだと、毎年感じます。

2021年06月07日

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今週のヒューエンス
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