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蓼食う虫も

 市街地を一歩出てみると、小麦の収穫の最盛期でした。暑さの中で実った穂は摘み取られ、まばゆいほど黄金色をした麦稈たちが、大きなロールにされるのを待っています。小麦畑ばかりを見ていたら、もう秋の様相ですが、すぐ隣の畑には真っ白なソバの花が瑞々しく咲いていて、こちらはまだ初夏の景色です。大地を貫く道路を、何枚もの畑を見送りながら走っていると、今が9月頃のような感覚にもなり、まだ7月に入ったばかりのような感覚にもなり、頭の中が混乱しそうです。
 ソバは、畑の困りものになりがちなギシギシやイタドリなどと同じタデ科の植物です。タデ科植物はアレロパシー効果のある物質を出すものが多く、虫がつきにくかったり、周辺に他の植物が育ちにくいことが知られています。ソバも、害虫はつきにくいけれども、連作障害が起きやすいと言われています。一方で、荒れ地でも育てることができるというたくましさがあり、ソバを育てた後の畑では雑草が生えにくくなるというメリットもあるそうです。輪作や休耕地管理に活用することもできるということです。毒をもっていたり、他の生物の生育を抑制する物質をもっている生き物は、地球上で大繁栄しそうなものですが、実際の世界では、そのようにはなりません。「蓼食う虫も好き好き」と言われるように、毒をも好んで食べる虫が必ず現れるからです。じゃんけんの石と紙とハサミの関係のように、最強の生き物が存在することもなければ、最弱の生き物が存在することもないのでしょう。この世界は本当に不思議なバランスの上につくられています。時々忘れてしまいそうになりますが、私たちもまた、そのバランスの中に生かされている生き物です。

2021年08月02日

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今週のヒューエンス
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