十勝へ引っ越してきてから知り合った、生粋の十勝っ子の中には、水泳が苦手な人が多い印象でした。夏の暑い期間が短く、プールの授業がとても少なかったのだと聞きます。そして、大抵の人は「息継ぎができない」のが泳げない原因だと語ります。プールの授業が何よりも楽しみだった子供時代を過ごした身からすると、ちょっとしたカルチャーショックだったのですが、十勝暮らしが長くなった今となっては、むしろ氷の上で追いかけっこをする子供たちの姿の方がうらやましくて仕方がありません。
　さて、誰が教えてくれたものだったのか記憶が遠すぎて定かではありませんが、泳ぐときに上手に息継ぎをする秘訣は、「息は吸うのではなく、吐く！」というものでした。息を吸おうとして水面から顔を上げれば水を吸い込んでしまいますが、思いっきり息を吐きながら顔を上げると、続いて自然に空気が入ってくるのです。やってみると、驚くほど上手くできるようになったのですが、言われなければきっと気づくことができなかっただろうなと、テレビに映し出される世界最高峰の泳ぎを見つめながら、懐かしく思い出しました。
　出口にちょっと意識を向けてみると、うまく回るようになることは、この世の中には沢山あるような気がします。排水処理の出口は、川や海の入り口につながっています。出口の先には必ず、新しい入口があるからです。

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今週のヒューエンス

更新日

2021-08-10

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