似て非なるの反対は
大地が緑に覆われる前の広い湿原は、サバンナのような、アフリカの広い草原の景色を思い起させます。雪が融ければ、大部分は枯れた草原で、ぽつり、ぽつりと茂みがあり、ところどころ細く頼りない木が、くねくねと立っています。残念ながら、アフリカにはまだ一度も足を踏み入れたことはないので、これは全く頭の中だけのイメージに過ぎません。実際にどちらも見たことがある人からは、一笑に付されて終わってしまうのかもしれませんが、湿原が近づいてくる度に、自然と頭に浮かんでくるのですから、仕方がありません。
気候区分からすれば、かたや亜寒帯の水に覆われた大地で、かたや熱帯の乾いた大地ですから、ほぼ対極にあると言えます。動物の密度も多様性も、両者は正反対かもしれません。それなのに、主観的とは言え、似た風景に感じることがとても不思議で、いつも印象に残るのです。
でも、よくよく考えてみれば、早春と晩秋の景色のように、人間の晩年と幼年ように、対極に位置するものが、似て見えることは、もしかしたら珍しいことではないのかもしれません。全てのことは、めぐりめぐっているからなのでしょうか。それとも、表と裏はいつも一体だからなのでしょうか。自分とは考え方が違うと思っている相手こそ、周りからは似た者同士と見られているかもしれません。自分には届かなそうだと思っていた憧れの人にも、共通点は沢山あるかもしれません。対極にあるからこそ、似ている部分と反対の部分があって面白いのかもしれません。
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