我先に
窓の外に、淡いピンクの花びらが１枚、舞い込んで落ちるのが見えました。桜が植えられているのは、少し離れた河川敷のあたりだと思っていましたが、もっと近くにもあるのでしょうか？ほんのひとひらで、その存在感を伝えることができる花というのも、他にはないのだろうな、と思いながら眺めます。
この季節、空は晴れていても、行楽日和と呼べるようなのどかな時間が長く続かない日があります。太陽が高くなるにしたがって、日高おろしがうねるように押し寄せてきては、まだ緑の少ない畑から、容赦なく土煙を巻き上げるからです。今日は畑の準備をしよう！と、腰を上げるタイミングが少しでも遅くなると、あっという間に風の餌食になり、体中が土まみれになってしまいます。風が強くなり始めたらすぐに作業をやめてしまえばいいだけなのですが、せっかく春らしい空なのにと、変な口惜しさがあり、ついつい、あれもこれもと外仕事を強行してしまいたくなるのです。何より、屋外で何かができる季節になったことが、やはり嬉しいのです。
何度目かの春を迎えているアスパラたちは、お店に並べても遜色ないほどのものから、こぼれた種から発芽した１年生かな？と思うような楊枝より細い茎のものまで、次から次へと顔を出し始めました。冬を越した生き物の気持ちは、きっとみんな一緒でしょう。我先に！と外へ出たくなるのです。
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