自然に学ぶ
今は、帰り道の空が夕暮れになることが増えました。ピンクやオレンジ、青やグレーが重なったような色に、羊雲や鱗雲が浮かびます。蒸し暑さの山を越えた安堵感のようなものも、風の中に感じます。
帰宅ラッシュの渋滞を抜けて、静かな河川敷で東の空に携帯電話のカメラを向けます。「いい色だな~」と思いながら、構図を調整していると、画面に映る空の色が薄くなったり色が変わったり・・・。光が弱くなる時間帯は、カメラの自動補正機能にも迷いが出るようです。自分の見ている色と、写真が写し取る色とが違っていると、何度も撮り直します。そして、つくづくと、人間の目(レンズ)と脳(エンジン)はすごいものだと感心します。もちろん、歳を重ねれば反応がゆっくりになったりもしますが、ピントも露出も、ホワイトバランスもノイズも、意識せずともすぐさま調整してしまうからです。白飛びや黒つぶれなんて心配もありません。
私たちが機械や技術に助けられる場面は、日常にあふれていますが、それと裏返しで、生き物や自然界がすでに備えている仕組みの巧妙さに気づきます。排水処理もしかり。処理フローをよくよくひもといてみると、川の浄化作用にはもちろんのこと、生物の消化や免疫などにも、既に似た仕組みがあることを知ります。排水処理はまさに“水物”を扱うような難しさを感じる場面がありますが、自然の中では、たとえ突発的な変化があっても、誰かが特別なことをしなくても、きちんと元の状態に戻っていくことができるのです。何か一つ、山を越えるたびに、生き物を知るということ、自然に学ぶということの大切さを、ひしひしと実感するようになりました。だからこそ、自然に沿った仕事をするということが、変わらず目標であり続けるのかもしれません。
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