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山の真ん中で

 今年一番!!と思えるほどの好天に恵まれた週末でした。日本一早いと言われる紅葉もすでに始まっていました。景色の賑わいは、必然、人の賑わいも引き寄せるもので、沢山の人が、名所と呼ばれる場所に向かっていました。ここ数年ですっかり山の季節感が鈍ってしまっていた身は、意図せずして見頃を引き当ててしまい、嬉しさよりも驚きの方が勝ってしまいます。紅葉に限らず、今年こそは!と狙っていても、なかなか天気やタイミングに恵まれず悔しかった記憶は、それこそ山のようにあるからです。この道も、本当ならば2か月前に歩きたかった場所でした。
 標高2158メートルの小泉岳は、百名山のトムラウシ山や十勝岳よりも高い位置にありますが、「本当に山頂?」と、辺りを360度ぐるりと見まわしてしまうほど、なだらかな大地の真ん中にあります。そもそも山なのか?という疑問も浮かんできそうなくらいです。
 標識を指して何やら話している人たち。秋の雲も、その人たちと同じ高さに見えます。それを包むように広がる青空。これ以上ない穏やかな景色です。でも、ここは、ハイマツも根を下ろすことができません。いったん風が吹けば、雪さえも留まることができないほど、遮るものがないのです。なのに、この道はフラワーロードと呼ばれていて、初夏には足元に固有種や希少種が咲き競います。なだらかな地形、過酷な環境、貴重な生き物たち、「あれ~ここが山頂?」と拍子抜けの声が響いてきそうな人影。何てことないように見えるこの場所に、厳しさと寛容と、美しさと荒涼と、あらゆるものが表裏一体となって詰め込まれているような気がするのです。


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