白鳥たち
うっすらと蹴嵐の昇る朝、十勝川に降りるハクチョウの群れをいくつも見ていました。朝日の方角からやってくる群れは、浅黄色の空に、黒々としたシルエットを浮かび上がらせながら近づいてきます。正面から見ていると、少数羽の編隊は水平に引いた一文字に見えますが、真上に来ると綺麗なV字に並んでいることがわかり、水上のシルエットの優雅さもさることながら、どこを切り取っても絵になる飛び姿にも、うっとりとしてしまうものがあります。
そんな翌日、ぽつぽつと降り出した雨が、次第に、風に飛ばされて横殴りになり始めた昼下がり、今度は秋蒔き小麦の畑の中でオオハクチョウたちを見つけました。陸上のハクチョウたちは、空や水上の優雅さとはおよそ対照的によちよち歩きです。そして、どういうわけか、ここでは成鳥よりもずっと幼鳥が多いようです。随分と距離はあるのですが、こちらを警戒した成鳥はゆっくりと離れていきます。その後を追うように、幼鳥たちも。なんだか園庭を散歩している保育士さんと、その後をついて歩く子供たちのようにも見え、ちょっとほほえましくなります。
でも、そんな子供たちも、北海道よりずっと北から、海を渡ってここまでやってきたのですから、きっともう一人前と変わらないのでしょう。こども色(グレー)しているからと言って、こども扱いをしてしまったのは申し訳なかったなと反省です。
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