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図鑑

 ツバメやツツドリたちの後を追うように、花前線が日高山脈の南の端の辺りまでやってきました。
 登山口の両側では、早速コヨウラクツツジが出迎えてくれました。目線よりも少し高い位置に、5ミリほどの赤い小さなつぼ型の花がつつましやかに咲いています。
 薄暗い林の中に入ると、すぐにオオエゾサクラソウの群落が見えて来ます。さらに進むと、ヒメイチゲの中に時折ツマトリソウが混じって咲いて、私は試されているような気持ちになります。白く小さな花が一緒に咲いていると、つい見逃してしまいそうだからです。
 林の中を明るくしていたミヤマスミレは、5合目を過ぎるとアポイタチツボスミレに代わっていきます。どちらも、ごろごろとした岩の隙間に根を隠すように納まり、似た色の花をのぞかせていますが、よく見ると異なる種です。
 今年はアプリを利用して自分だけの図鑑を作ろうと思っています。植物でも動物でも雲でも石でも、自分で撮った写真に、名前や分類の決め手など何でも入力することができます。好きな花の世界でも見分けのつかない種は沢山あり、アザミやセリの仲間などはいまだに区別がつきません。今年こそは苦手分野を克服しようと始めた取り組みですが、最初に選んだのが「植物のるつぼ」とも呼ばれているアポイ岳だったのは、果たして正解だったのか・・・。今はシーズン初めで見られる種類こそ限られていますが、帰ってアポイ岳の植物図鑑を確認したところ、ざっと800種ぐらいの掲載がありました。思っていたよりも高い山に、なんだか鍛えられそうです。


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