トンボ飛ぶ秋
トンボが優雅な季節になりました。
湿原の辺り、縄張りを見回るトンボたちが沢山見えますが、カメラで捉えるのは至難の業です。被写体が小さい上に、同じルートをゆったりと旋回しているようで、ツーツッ、ツツーツッ、ツーと変則的なリズムを刻むので、どうもピントを合わせることができません。あの大きそうなトンボは何だろう、そう思って追いかけても、ピントダイヤルが右へ左へと慌てて回るだけで、捉えられた試しがありません。
やっとキトンボが一匹、木の先に止まってくれました。黄金色の羽が、傾きだけは秋らしくなり始めた太陽からの光をきらきらと受けています。
本来涼しい湿原や高地に暮らす種類のトンボたちは、この夏をどんなふうに受け止めたのでしょうか。学生の頃などは、十勝の平地でも氷河期の生き残りと言われる貴重なトンボが沢山見つかりましたが、今も元気に飛んでいるでしょうか。ポーカーフェイスの大きな目が何を見ているのかはさっぱりわかりませんが、秋に入ってもなかなか収まらない暑さを、つらいな~と感じているのは、きっと人間ばかりではないだろうと思うのです。