あと一歩
こんな近距離でしかも絶好の光具合で撮れることなど滅多にないことです。拡大すれば、こちらを見据えた目つきも、一見地味なようでも美しい模様も、胸筋のように盛り上がった胸元も、肩を怒らすような翼のたたみ方も、細かいところまでじっくり観察できるほどです。長く追いかけている相手を、一番きれいに撮れたかもしれないと思っていました。
でも、そう、枝が一本、邪魔なのです！惜しい、ほんとうに惜しい。もちろん、枝が重ならないように移動も試みました。しかし、野生の動物を被写体にするとままあるように、視線をそらした瞬間、山の方へ飛び去ってしまいました。
あと一歩を埋めるものは何なのでしょうか。あと一歩のところまでは、案外すんなりと行けたりするのです。目標の一歩手前、目的地のすぐ近く、横切る一本の枝、ほぼ目的達成と言ってもいいかもしれないけれど、明確に達成したとは言えない位置です。経験、知恵、根気、忍耐、運・・・並べてみると何だか今の時世には浮いてしまいそうな言葉たちですが、でもどこかに足りなかったところがあるのでしょう。中には自分の気持ちひとつで決まるものもあるからです。いろいろな人に支えられて、励ましの言葉を沢山いただいても、やはり最後まで一歩を踏み出そうとする背中を本当に押せるのは、自分自身だけです。今度こそ、最高の場所にたどり着こう！時間がかかっても、そこをあきらめずにいきたいと思うのです。
