学びの場
海の中の生き物たちには、能動的に会いに行かなければ、出会う機会はほとんどありません。そんな当たり前すぎることに今更ながら気づいたのは、最後に水族館を訪れたのが、ずっとずっと昔の幼い頃のことだからかもしれません。陸に住む私たちとは全く違った生き方や戦略をもった生き物の世界は、凝り固まった想像力を刺激するにはもってこいの場所でした。
ウミガメは頭や足を甲羅の中にひっこめることができないとか、ペンギンの足の色がみんな違うとか、タツノオトシゴは恥ずかしがり屋だとか、ささいなことも子供の頃は気づけなかったかもしれないと思うことが沢山ありました。カラフルだったりユニークだったり特徴的なその姿の訳を想像することも、以前はなかったかもしれません。一言で表せば年の功が、今は強い味方なのです。
気付ける力や想像する力に、答えに近づく力が加わって、目の前の疑問との間がパズルのピースのようにぴたりと埋められていく感覚は楽しいものです。そこでは疑問の大小はあまり関係がないように感じます。そして、子どもたちが沢山行く場所だからと言って、子どもと全く同じ目線である必要もありません。今回の水族館では、施設の方に水処理についても質問してみました。いろいろな意味でとても興味深い話を聞くことができました。この仕事をしているからこその疑問をもつことができたことも、また幸せなことの一つです。大人になったから大人らしい場所に行くというだけでは、人生はもったいないかもしれません。学びの場は、沢山あった方が楽しいはずです。