氷上
週末、十勝初訪問の方を然別湖へ案内しました。前日にまとまった雪を降らせた低気圧のしっぽがまだ残っていて、道中あちこちに吹き溜まりを作っていましたが、うっすらと白い霧の向こうに十勝平野も見えていました。
然別湖は大雪山系の東端の辺り、標高800メートルを超える場所にあります。帯広からは進路を北西に取り、平らな大地をひた走った後、山の裾野から一気に標高を上げ、最後は車1台分の細い曲がり道を、湖を見ながら下っていきます。天候が荒れると、車の1台や2台簡単に路肩に落ちてしまうこともあると聞いていたので、スコップやら牽引ロープやらを備えて行きましたが、前日の降雪が程よく雪山を作ってガードレールの役割をしてくれていたので、心配するほどの悪路ではありませんでした。
然別湖の氷上に造られたコタンは、少し前の記録的な高温のせいで一部の施設が崩れてしまっていましたが、アイスバーや氷上露天風呂は幸い残されていました。アイスバーはカウンターも椅子もテーブルも、然別湖の天然の氷を切り出して造られています。透明度の高い氷は、それだけでも宝石のように艶めいて美しいのに、アイスバブルを閉じ込めた氷のテーブルがところどころに置かれているのを見つけて、また心が跳ね上がります。いつも真上からしか見ることができなかったアイスバブルを横から見られるなんて!覗き込んだら、魚になれそうな、はたまた時空を超えられそうな景色です。
アイスバーを出ると、強い風と雪であっという間に体が冷えてしまいました。思い切って氷上露天風呂に併設された足湯に浸かってみると、体が温まる温まる!入る時も勇気が要りましたが、今度はお湯から上がるのに更に勇気が必要になります。でも、上がった後も体の内側はぽかぽかとして、前よりも足取りが軽くなりました。寒さと温かさのごちゃまぜになった刺激に当てられた頭の中では、温泉ってすごいな、なんて普通の感想ばかりが浮かんでいました。暖かくなり始めた3月でこれであれば、寒さの真っ只中ではどうなるのでしょうか。そんな怖いもの見たさの興味も湧いてきてしまいます。来年も挑戦してみようか・・・!