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ゆるむ

 外の気温は1度。まさに満開の桜を見上げている本州の方たちから見れば「お彼岸を過ぎてもまだ1度!?」と思うかもしれませんが、それでも十分暖かいのです。その証拠に、寒起こしされた畑の、ぼこぼこと荒い畝からは、湯気のように靄が立ち昇っています。近づくと曇りの中に立っているようですが、頭上は青空です。「暖かくなったのだな〜」と、温度計が指し示す数字よりもずっと、しみじみと春の温みを感じるのです。
 そんな畑の間を走っていると、タンチョウが悠々と道路の真ん中を歩いていました。車の速度を落としたものの、逃げる素振りもない貴婦人。運転席の窓を開けて写真を撮っていると、驚くことにゆったりと近づいて来ました。ええぇーっ!?エゾリスと同じ反応?シャッター音に興味を持ったのでしょうか。混乱する頭は更に、「あの嘴で突かれたら怖い!」と警笛も鳴らしています。1メートルほどの距離まで近づいて来たとことで、対向車が近づいて来たのに気付き、畑の方へ降りて行きました。
 面白いことに、少し離れたところにいたペアの相手が、相方が私たちの車に近づいていく様子を見て、慌てて近寄ってきました。似た光景は他の水鳥でも見たことがあります。大抵、警戒心が薄く興味本位で先へ進むのはメスで、オスが慌てて追いかけるというものです。タンチョウの雌雄は判別できませんが、もしかしたら同じようなパターンなのでしょうか?この春という季節に、ペアの鳥たちを見ることが多いからそんな様子を頻繁に目にしているだけなのか、はたまた春という季節が鳥たちにそうさせるのか・・・。頬も緩むような季節がやってきました。
カテゴリ
今週のヒューエンス
タグ
十勝の景色生き物
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