変化への反応
先週の恨み節が天に届いたかどうか、十勝にも湿った雪がいくばくか積もりました。久しぶりの雪の上に、早速キツネやエゾリスの足跡を見つけ、彼らもここまで生き延びてきているのだと、少しだけ安堵しました。
さて、この冬、近くで河川工事があり、河畔林の伐採や水路拡張がなされたようでした。十勝川への合流点に近い支流沿いは、増水時には浸水の危険性が高くなります。その対策なのだろうと理解しつつも、自然に近い豊かな河畔林の残った十勝の川は、景観としても生き物たちのゆりかごとしても貴重な資源だと感じていただけに、複雑な気持ちにもなります。毎年、この河川敷の決まった一本の木に止まっていたオジロワシのペアも、この冬は姿を見かけていません。工事の喧騒を避けた一時的なものなのか、もうやってくることはないのか、その行方を知ることができるのはしばらく先になるのでしょうが、この季節だけの楽しみを一つ失うかもしれないという寂しさをぬぐえません。
一方で、よく見かけるようになったのが真っ白なサギたち。本州では水田の景色に普通に見られますが、水田がなく、えさ場になりうる小さな河川は氷結してしまうことの多い十勝の冬では、見かける数も頻度も少ない鳥です。それがこの冬は、工事をしている河川の周辺で何羽も見かけるようになりました。重機でかき混ぜられた河床から逃げ出した魚や虫たちを下流で狙っていたのかもしれません。人間活動から利を得ることを学んだのだろうかと感心してしまいます。
環境の変化をどう受け取るかは種によっても個体間でも様々ですが、生き物たちのある意味素直な反応は、先の読みにくい人間の世界の変化をとらえ直す上で、ヒントも隠されているように感じることがあります。考えが絡まってほどけない時、原点に戻るような気持ちで眺めていると、癒し以上に、何か気づきを与えてくれることがあるかもしれません。