大きさと数
暦の上では春半ばですが、北海道では寒気と暖気のせめぎ合いがまだまだ続きます。それでも、粒はふんわりと大きく、ひとたび太陽が顔を出せばすぐにとけてしまうような、はかない雪の日がほとんどです。
先週、そんな雪の舞う日に母校を訪ねる機会がありました。学び舎はどこも改築が進み、自身が通っていた頃の面影がなくなりつつあることを寂しく感じながら、売店ものぞいてみることにしました。こちらは内外装こそ当時のままでしたが、売られている品数は随分と減った印象です。特に売り場の半分を占めていた本が、当時の半分程度まで減っているのが目に入り、ショックを感じずにはいられませんでした。街の本屋もどんどんと姿を消していく時流にあっては致し方ないのかと半ばあきらめつつも、並べられている本を眺めると、母校の先生が執筆したものも多くあり、「こういうの読みたかった!」と興味をそそられるタイトルばかりが並んでいます。結局、そのうち2冊を購入してしまいました。
以前、首都圏の大型百貨店よりも、品数の限られた地方の小さな百貨店の方が、売り場面積に対する売上高がよいことがあるとの記事を読んだことがあります。心理的に、人は多くの選択肢から一つを選ぶことが苦手だと説明がされていたように記憶していますが、自身を振り返ってみても、いいものを選びたいと候補を広げれば広げるほど、決めきれずに終わった経験が何度もあります。もちろん、選択肢が多いことが必要とされる場面もありますが、必ずしもそうではないということもまた事実なのでしょう。我が家の仲間入りをした本たちは、早速、私に新しい視点を与えてくれました。売り場の大きさや数の大小では測れない価値を売るということもできるのだと、変わりゆく学び舎に教えられたような気がします。
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