これからが
北海道のカッコウは、とうに南へ帰ってしまいまっていますが、紅葉シーズンも過ぎたこの時期は、どこへ行っても車や人の波に煩わされることはなくなりました。うら寂しいと言ってしまえばそれまでですが、これからが北海道民ならではの楽しみを見つけられる時です。
北海道の最東端では、野良にしては毛並みのきれいなブチの猫が、人恋しそうにお土産屋さんの中をのぞき込んでいました。夏の間は、にぎわう観光客のアイドルなのだと、お店のおじさんが教えてくれました。口が滑らかになったところで、とても珍しい海鳥が見られる場所や時期など、忙しい時には聞くことができないであろう話を、惜しげもなく伝授してくれました。
北海道の真ん中辺りでは、夕陽を待っていた横に、温泉宿のご主人がスマホを片手にサンダル履きで現れました。「いや〜、一年中眺めているけど、こんな空には滅多に出会わないよ〜。マジックアワーっていうの?」
立ち並んだお土産屋さんのほとんどが、シーズンオフで休業中の海辺では、白く大きなメノウ石を幾つも拾うことができました。以前、夏休みの時期に訪れた時には、目を皿のようにして探してみても、小さなかけらをひとつふたつ見つけるのがやっとでした。
観光旅行であっても、ふと寄り道した裏路地の風景が、強く心に残ることがあります。それは、ガイドブックに書かれたお決まりのものではなく、自分だけが見つけた小さな価値だからでしょう。住んでいるかのように旅をすることが楽しいのであれば、今住んでいる場所を改めて歩いてみても、もっともっと面白い人や物、風景に出会えるはずです。心ゆくまで自分だけの地元を味わえる季節になりました。
2015年11月09日
- カテゴリ
- 今週のヒューエンス
- 更新日
- 閲覧数
- 501