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カメラ

 木々が色付き始めると、どこにカメラのレンズを向けても絵になる季節です。
 カメラを始めてみると、撮ることの楽しさと同時に、撮りたい写真を撮るということの難しさを実感します。独学で一通り本を読んでみた後、写真の勉強をした知人に、どんなレンズが良いのかを尋ねたところ、「まずは短焦点レンズ」とのこと。教えられるままに使ってみると、近くのものに焦点を当てようとすると、ぼんやりピントが合わないし、少し離れたところのものを写そうとすると、小さすぎてなんだか物足りない。上手く写せないことに不満を漏らすと、その友人は「相手が動かないなら、自分の足で近づいて行ったり、一歩引いてみたりするものでしょう」と。
 ボタン一つでズームできるカメラの便利さに慣れていた私に、はっとさせる一言でした。
 便利なものがどんどん増えていく反面、物事の本質に鈍感になってしまっているということがあるのかもしれません。友人から教えられたことは、写真を撮ることだけに限らず、人との関わりの中で生きていく上でも、とても大切なことだと感じました。
 この後、写真が劇的に上達したか、というと、奥の深い世界でのこと、そんな簡単なものではありませんでしたが、以前よりずっと楽しくなったことは確かです。山の斜面に足場を作り、ファインダーをのぞきつつ、ぎりぎりのところを前に行ったり後ろにさがったり、ここだ!というところでシャッターを押す緊張感は、ズーム付きのカメラでは味わえない楽しさなのです。

2011年10月11日

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今週のヒューエンス
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