銀竜草
今月初め、雌阿寒岳を登った後のこと。山を下り終えて後は車へ移動するだけという時、前を歩いていたお二人の女性が、何やら探し物をするように林の中に進んで行きました。話を聞いてみると、先日、この辺りに銀竜草(ギンリョウソウ)が咲いていたので、その花を探しているとのことでした。なかなか目にすることが出来ない花なので、私も周辺を探してみましたが、残念ながらその時は見つけることができませんでした。
探し物は忘れた頃に見つかるというのはよくある話ですが、こんなエピソードもすっかり忘れかけていた昨日、思いがけずその銀竜草に出会いました。
ひんやりと霧が立ち込める薄暗い林の中でも、その白銀の姿は不思議に目を引くものでした。白く透き通るような姿は、これはキノコだと言われても疑わないだろうと思いますが、れっきとした種子植物で、良く見ると、花びらも雌しべも雄しべもあるのが分かります。樹木が作り出した養分を、その樹木の根に共生するベニタケ属の菌類を通してもらっているため、自身は葉緑素をもたず、透き通ったような白色になったのだそうです。
ユウレイタケという異名もあるくらいですので、何も知らずに見つけてしまったら不気味に感じてしまうかもしれませんが、他の植物とは一線を画す姿には惹きつけられるものがあります。多年草ではありますが、同じ場所で次の年も見られるとは限らないというのも、何とも神秘的です。こんなきれいな状態の花を見たのは私も初めてで、とても幸運な出会いでした。
2012年7月23日
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