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水物

 今、興味があって読んでいる本に、「動的平衡」という言葉がありました。私達の体は、半年前とさほど見た目は変わっていないように見えますが、細胞を構成する分子や原子はものすごい速さで古いものが排出され、新しい分子に置き換えられているそうです。つまり、ミクロの世界で見てみると、半年もすれば体中の分子はすっかり入れ替わり、全くの別の体になっているということです。分子的に変化している流れの中で、生き物として体が保たれている状態を動的平衡と呼ぶそうですが、このことは私にとってとても驚きでした。
 生物は体内の物質を常に入れ替えているにも関わらず、健康な状態を保てる仕組みが備わっているということです。私達の仕事である排水処理も、いわば流れの中にあるシステムですが、日々変化する負荷量(水量や汚濁状態)に対して常に安定した処理(動的平衡)状態を保つのはとても難しいことです。様々なことを想定してシステムを組んでいても、定期的なモニタリング、人の手による点検や調整は欠かせません。管理が複雑で難しい排水処理は「水物」などと、半ば冗談交じりに表現されることもあるほどです。
 何十億年という生物の歴史に比べれば、水処理の技術はほんのかけ出しで、改善の余地が沢山あります。ただ、本を読みながら自然のシステムの巧妙さを学んでいくと、水処理に関するヒントも沢山埋もれているのではないか、という期待がいつも湧いてくるのです。

2012年10月29日

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今週のヒューエンス
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