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カムイミンタラ

 北海道の屋根である大雪山のことを、アイヌの人々は"カムイミンタラ=神々の遊ぶ庭"と呼びます。アイヌ信仰では、人間にはない能力をもつあらゆるものにカムイ(神)が宿り、ヒグマやシマフクロウなどの動物や植物の姿で私達の前に現れるとされているそうです。
 まだ雪の残る大雪山系へ登れる日を待ちわびつつ、先週末、そのカムイミンタラの名峰トムラウシ山を望める展望台へ出かけてみました。近くの街からでも車で1時間半以上かかる展望台は、既にその庭に足を踏み入れた場所にあります。
 遠くから美しい雪渓や稜線を眺めているだけでも、確かに、ここでは神々も遊びたくなるような場所だと思えてきます。山に登ったときに神聖な気持ちになるのは、もしかしたら、より近くに神々を感じることができるからなのかもしれません。
 帰り道、渓流にかかった小さな橋の横で何やらもぐもぐとフキを食べていたのは、まだ若いカムイ(ヒグマ)でした。車を目にしてすぐさま逃げていきましたが、あんなに近くで会ったのは初めてです。そう、そこも彼らの庭の一部です。私達はその庭にお邪魔している身だということを忘れなければ、神々が遊ぶ姿をさえ目にすることができるのです。

2013年7月16日

カテゴリ
今週のヒューエンス
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