山のめぐみ
連休中、天気が好転することを願いつつ向かったのは、旭川市の南東に隣接している東川町。北海道の最高峰、旭岳の紅葉を見たいと出かけたのですが、容赦ない雨と雷の前に、あえなく退散。後ろ髪をひかれつつも、お昼を食べて帰ろうと1軒のラーメン屋さんに入り、出されたお冷をごくりと飲んで思い出しました。
東川町には浄水場がなく、町の人たちは皆、大雪山から湧き出る水をそのまま、飲み水にも生活にも利用しているというのを、何かで読んだことがありました。今時分、浄水場が無くても飲み水が確保できるということに驚き、とても印象に残っていたのです。(北海道ではここだけ、日本国内でも珍しいのだそうです。)ということは、今口にしたお水も、その一杯。確かに水道水特有の臭みも癖も全く無く、口当たりの良い水は、何杯でも身体に沁み込んでいきそうです。
そういえば、昔、田舎の実家では、水道水とは別に山から直接引いてきた水を使っていたのを思い出しました。年によっては水が枯れてしまったり、冬には凍ってしまったり、安定した水源ではありませんでしたが、夏でも冷たく美味しい山の水は、飲み水や料理用の水として重宝されていました。
浄水の技術によって、私達の衛生環境は格段に向上し、安定した生活を送れるようになりましたが、その分、自然の恵みの有難みを感じにくくなってしまった気がします。何百年、何千年とかけて作られた貴重な水を、そのまま毎日飲める東川町の方達が本当に羨ましく、また、北海道にはそんな素晴らしい場所もあるのだということを誇りに思い、私達も水と向き合っていければと思います。
2013年9月17日
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