秘奥の滝
"秘奥の滝"
トムラウシ温泉へ向かう途中に見つけた看板が、ずっと気になっていました。実は、1週間前にも行ってみたのですが、車同士がすれ違うことも出来ないほどの細い林道に積もった雪の多さの前に、安全をとって退却。でも、見てみたい気持ちが抑えられず、再挑戦です。
幸い、前週の雪はほとんど融けて、難なく山道を進むことができました。車を降りて、今度は歩いて滝の近くまで行ってみます。遊歩道は過去に崩落したこともあるだけに、山側は大きな岩がせり出し、谷側は絶壁のように切り立ったところに、人ひとりが歩ける程度の頼りない道が続いていました。時折みぞれ混じりの激しい風が吹く中、濡れた落ち葉に何度も滑りそうになりながら慎重に歩くこと5分。
山の谷間にぽっかりとできた空間に、豊かな水をたたえた滝が現れました。
人の姿はもちろん、動物の影もなく、あたりには水しぶきの落ちる音だけが響いています。後ろを振り返ってみると、絶壁の岩の隙間から染み出した水が、細い糸のように無数に落ちていて、ストリングカーテンのように光っています。決して大きく派手な滝ではありませんが、見ているだけで心が静まり、一方で気力が沸いてくるような、不思議な空間です。
新緑の季節もきっときれいでしょう。夏の暑い日に涼むのもよいかもしれません。清く厳かな雰囲気をもったその場所は、確かに、自分だけの秘密にしておきたいような場所でした。
2013年10月28日
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