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争奪戦

 1年の約半分を雪とともに過ごす北海道も、3月に入れば終盤戦です。この冬の十勝はまとまった雪が少なかったので、春の訪れもずっと早そうです。
 去年の春、コムクドリが子育てに使ったお向いの電信柱。早くもこの巣穴をめぐって争奪戦が起こっているようです。先陣を切ったのはお馴染みスズメ。近頃、つがいと思われる仲の良い2羽が電柱に出たり入ったりを繰り返していました。そこへやってきたのは夏鳥のムクドリ。寒さが緩み始めたのと同時に、北海道へ戻ってきたようです。しきりに電柱の穴を覗き込んで、中の様子を確認しています。去年のコムクドリはまだ見かけていませんので、少々出遅れてしまっているようです。
 子育ての場所選びは、彼らにとって今、一番重要な仕事です。1本の電柱をめぐる鳥たちの様子を見ていると、心にちくりと刺さるものがないではありません。本来であれば、木の洞が彼らの家となり、ヒナたちを守ってくれるはずですが、その数が十分ではないために、人工物でも利用せざるを得ないという一面があるのではないかと思うからです。彼らのたくましさは、一方で自然環境のあやうさを映しだしているようで、時々心が痛みます。

2014年3月3日

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