紅葉最前線2014
海水浴が大好きだった幼少の頃、お盆を過ぎるとクラゲが増えるのでもう海には入ってはいけないと言われ、子供心にも夏が終わってしまうのだと寂しく感じた記憶があります。北海道に来たばかりの頃、お盆を過ぎると一斉に始まる暖房器具のCMを見て、夏が終わった途端冬が来るものかと、とても驚きました。夏の後に冬がくるというのは大げさなようではありますが、お盆の花火大会に出かけたときに、ダウンジャケットを持ってくればよかったと後悔した経験を持っている方は、とても多いのではないでしょうか。
今年の夏も、お盆を境にすっかり秋の気配が強まりました。気がつけば、空は青さを増して雲は高く、朝晩の空気もひんやりと気持ちの良いものになってきています。大雪山では紅葉の先陣を切るウラシマツツジが、赤いじゅうたんを広げていました。高さはわずか数センチですが、これでも歴とした木の仲間なのだそうです。ひとつひとつの葉を見てみると、色づきの初めは緑に赤い色素が重なり少し紫がかった赤で、やがて葉全体が透き通った赤に変わっていくようです。ウラシマツツジがすっかり衣替えを終えれば、紅葉の主役はやがて高い木々へ移り、山の斜面全体を赤や黄色に染めていくことでしょう。
夏が過ぎゆく寂しさはこの歳になっても時折感じますが、ゆっくりと深まる秋の味わいを楽しめるようになったことは、人生をより豊かにしてくれているような気がしています。
2014年9月1日
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