流れ
水は生き物ではありません。でも、豊かな水の流れる川には、生命のダイナミズムを感じさせる力があります。
生き物にとって必要不可欠な水は、それだけでも命を連想させるものです。でも、川となって流れ始めた水は、まるでそのものにも命が吹き込まれたかのように、力強さを増します。
私たちの体は、動いているよりも止まっている方が安定していると思いがちですが、見た目には現れなくても、常に血液は流れ続け、細胞内の物質は入れ替わり続けています。自転車は、ペダルをこいで走り出した後の方が態勢を保ちやすいように、私たちの体の中も、動き続けることで安定を保っているのです。
そう考えると、命をつなぐと言うことは、良い流れを保つということと等しくなるかもしれません。新たな場所へ水を導くには莫大なエネルギーを必要とし、流れが細くなれば周辺の田畑は干上がり、また濁流の影響は海までつながっています。それでも、自然界も私たちの体も、良い流れを作りだしたり、良い流れに戻す仕組みを必ず備えています。一筋縄ではいかない水処理の仕事をしていると、それがどれほど尊いものなのか、つい考えてしまうことがあります。
2014年11月10日
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