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3つの太陽

 しばらく暖かい日の続いた先週とはうって変わって、今朝の街頭の気温はマイナス14度。久しぶりにキンと冷えた朝に、車のフロントガラスも真っ白な霜で覆われていました。西の空には雲が無く、青空に真っ白な日高山脈を清々しく望むことができ、東の空では、柔らかなベールのような雲に透けて、太陽が黄金色の光を滲ませていました。
 建物の間から見え隠れする太陽の横に、ふと、もうひとつ明るい光を見つけました。

 幻日です。

 以前、モンゴルの草原に、幻日を撮影に行くという番組を見たことがありました。幻日は、太陽の高度は40度以下、風がなく、高層の雲をなす氷の結晶が六角形の板状に揃い、それらが水平に漂っている時だけに現れるそうです。番組では、凍てつくような寒さの中、取材期間ぎりぎりまで粘り、やっと撮影できたほど、条件が揃わなければ見ることのできない珍しい現象だということを、その時初めて知りました。
 その幻の太陽が、真っ白な樹氷に覆われた林の奥で、明るく輝いていたのです。とっさに通勤路から外れ、高台の河川敷に車を向かわせて、携帯電話のカメラでその太陽を収めました。

 太陽がわずかに高度を上げると、今度は左側の幻日も見え始め、やや光を弱めながらも太陽は3つになりました。
 出勤時間でなければ、幻日が消えゆくまで眺めていられたのに、とか、いつものカメラを持っていればもっときれいに写せたのにと、少々惜しい気持ちもありましたが、のんびりした休日の朝だったなら、目にすることすらできなかったかもしれません。
 お昼休み、再び空を見上げると、太陽を覆っていた薄い雲はすっかり消えていました。なんだか、今朝の景色はほんとうに幻だったのではないかと思うほど、よく見慣れた十勝晴れがどこまでも広がっていました。

2015年01月13日

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