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輪郭線

 世界一有名な女性、モナ・リザは、輪郭線をもたずに描かれました。絵画だけではなく、工学、解剖学、地学、植物学など科学の分野にも多くの業績を残し、万能の天才とも呼ばれたレオナルド・ダヴィンチは、物には輪郭線がないということに気づき、陰影のみによって人や物を描くスフマート法を編み出したそうです。
 真っ白な画用紙と向き合った時、ほとんどの人が輪郭から描き始めるのではないでしょうか。机やリンゴ、家や人はそれぞれ区別され、その間には明確な境目があるかのように描かれるはずです。でも、自分とリンゴを区別するものは何でしょうか。口に入れられ消化されたリンゴは私たちの体の一部となります。しかし、リンゴがずっと体の中にとどまることもなく、栄養となったリンゴの成分もやがては排泄されたり、古くなった細胞と共に体を離れ土へ戻っていくことになるでしょう。木は生き物が呼吸するための酸素を作りだし、生き物が吐き出した二酸化炭素は自身が有機物を作りだすのに使われます。目に見えないミクロの世界では、物質は、人やリンゴに限らずあらゆるものの間を絶え間なく行き来しており、自然界における境界線は実はとても曖昧なものなのです。
 写実的でありながら、不思議な魅力を失わないモナ・リザの美しさは、自然を探求し続け、その本質を知り得たダヴィンチだからこそ描けたものだったでしょう。世界最高の名画には遠く及ばずとも、自分もいつかは美しい世界の一端を表現できるようになりたい、そう思うと、まだまだ学ぶべきことが沢山あることを実感します。

2015年03月09日

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今週のヒューエンス
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