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さえずり

 日差しのある暖かな日が増えました。日高の山々も大雪の山々も、一見、冬景色と変わらないようではありますが、氷の粒をびっしりとつけた枝の先でも、新芽のかたい殻が割れ始め、それを喜んでいるかのように小さな鳥たちのさえずりが、あちこちから聞こえてくるようになりました。
 鳥のさえずりを耳にすると春が来たと誰もが感じるものですが、その訳をこれまではあまり意識していませんでした。さえずりは地鳴き(カラスの「カー」やスズメの「チュンチュン」といった一年中聞こえてくる声)とは違い、オスがパートナーを見つけるため、またパートナーを守るため縄張りを主張する声です。四季をもつ日本では、餌となる昆虫などが増える春に子育てを始める鳥が多いため、暖かくなり始める頃からさえずりを多く耳にし、季節が夏や秋に移るにつれて聞こえなくなっていきます。そういった訳で、鳥が歌い始めると私たちは春の訪れを感じるのです。
 理屈を知らずとも、私たちは季節の流れを無意識に感じとることができますが、その仕組みを知り、見えなかったものが見えるようになると、自分の周りにある自然はずっと奥深いものだと気が付きます。美しいさえずりを耳にして、春が来たとのん気に喜んでいるのは人間ばかりで、彼らにとっては戦いののろしを上げているようなものです。誰よりも早く、美しく、大きな声を響かせることができなければ、命をつなぐことができません。春の知らせが美しく響く訳は、その裏に彼らの必死な戦いがあるからなのです。

2015年03月16日

カテゴリ
今週のヒューエンス
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