お鉢平
直径2キロにもなる大雪山のお鉢平。大昔、この巨大なカルデラの活動が活発だった頃、北海道の最高峰旭岳が誕生し、当時は今の富士山よりも大きな火山だったと言われています。どれほどの大きさだったのか、今となっては想像もつきませんが、有毒のガスや温泉を吹き出し続ける白い大地の底を眺めていると、まだこの下で眠っている巨大な獣の息遣いが聞こえてきそうなそら恐ろしい感じさえ覚えます。
とは言え、青空の下で同じ景色を眺めていれば、きっとまた違った印象を受けるでしょう。雪解けの遅い今年は、雪渓とハイマツのコントラストをまだまだ楽しむことができます。白と緑に青が加わるだけで、爽やかな風が通り抜けるような開放的な景色に変わっているはずです。次は是非、そんな時に訪れたいものだと思います。
そんなことを考えながら広大な景色をぐるりと見回していると、スマホを操作しながら無言で座り込んでいる若者たちや、タブレットに向かって話しっぱなしの外国からの旅行者の姿が目に入ってきました。実は近頃よく見かける風景です。画面の向こう側に、感動を伝えたい人たちがいるのだということは容易に想像がつくのですが、やはり違和感もぬぐいきれません。見ず知らずの人同士でも、お互い労い合ったり感動を共有できたりするのが、山の不思議な力です。例え一人であっても、見えない電波を探す姿より、目の前の圧倒的な景色に浸っている姿の方がずっとカッコイイ、そう教えてあげたいのですが・・・。
2016年07月19日
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