余白
冒険家の言葉がとても印象的でした。過酷な世界に挑むとき、あえて余分なものをひとつ持っていくのだそうです。冷静沈着な判断ができなくなればただちに死に直結するような極限状況が続く中で、生きるために必ずしも必要ではない"本"を一冊ザックに入れておくと、それが心の余裕を生み、自らを落ち着かせることができると言います。
人の奥深さを創り上げるものが何なのか、それが余白にあるのかもしれないと思います。余白は何も書かれていない空間を指すものです。書いてあることがないのだから何の意味ももたない、余分な場所と言う訳ではないでしょう。本を開いた時に、文字がぎっしりと詰め込まれていて余白がほとんどなければ窮屈な印象を受けるでしょうし、逆に余白が広すぎても不安定で納まりの悪さを感じるはずです。中には余白に思いついたことを書き記してみたり、パラパラ漫画なんていう新しい世界を生み出してみたりする人もいるでしょう。文字の書かれた空間は生きるために必要なことを、何も書かれていない白い空間はそれ以外の余分なことそして可能性であり、この両方のバランスがうまく取れていることが、人としての魅力につながるように感じるのです。
今週は少し長めの休暇をとる方が多いと思います。やらなくてはいけない毎日のことから、しばし離れる時間ができます。余白を充実させるよいチャンスではないでしょうか。
2016年08月08日
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