きのこの森へ
今年から始まった8月11日の山の日の話題になった時、実は一度山に登ってみたいと思っていた、という若い社員の発言で、有志数名の登山会が企画されました。目標は日本百名山の雌阿寒岳と即決したものの、なかなか天候に恵まれず、実現できたのは秋分の日でした。
いつも残雪の初夏に登ることが多い雌阿寒岳にこの時期に訪れるのは、私自身も初めてです。ひんやりとした秋らしい空気の中を出発すると、すぐに針葉樹の森に入ります。夏には可愛らしい花で迎えてくれるゴゼンタチバナやマイヅルソウやコケモモは、赤やオレンジの宝石のような実を誇らしげに結んでいました。更に進むと、今度はきのこのオンパレードです。森を覆う緑色の苔マットの上には、黄色や茶色、黒や赤、大きいものから小さいものまでとりどりの傘が広げられていました。もちろん国立公園内ですから、採集することはできませんが、これは食べられるのか毒なのか、新しいきのこを見つける度に想像し合いながらわいわいと進みます。
2時間半ほどで頂上へたどり着くと、湧き上がる雲の切れ間から大きな火口や、阿寒湖を望むことができました。曇が多く景色が心配でしたが、高い秋空と雲の演出のおかげで迫力の絶景です。プラントの設計を担当している社員は、噴気の上がる深い火口の底をのぞき込み、「一体、何立米の大きさなんだろう」と。当社ならではの発想に、笑いが生まれます。
記念写真がひと段落して、お湯を沸かしてお昼ご飯と温かいココアをお腹に納めます。気がつけば、次々に登頂を果たした登山者で、周りは賑やかさを増していました。立っていられないほどの強風になることも多い頂上ですが、幸い風の弱かったこの日は、思い思いの場所に腰を下ろし、皆同じように、景色とご飯を心ゆくまで楽しんでいる様子でした。
下山した後、初めての山の感想を尋ねると、「楽しかった、また行きたい」とのこと。なかなかの好感触に、経験者たちはひとまず安堵しました。夏山シーズンは既に終盤に入っていますが、果たして2回目のチャンスがめぐってくるのか、楽しみにしていたいと思います。
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