十勝川
十勝にオオハクチョウが飛来したと新聞で読み、無性に気になり始めました。毎年、秋に十勝川を遡上してくるサケは、今年も来ているのだろうか、と。記録的な台風が過ぎ早ひと月半が経ちますが、十勝大橋から眺める十勝川は、まだ濁った色が抜け切れていないように見えました。オオハクチョウやカモたちが羽を休め、そして少し遅れて渡ってくるオオワシやオジロワシの鋭気を養う十勝川に、サケはのぼって来られるのか、気になって仕方がありませんでした。
日の出より少しだけ早起きして、十勝川に向かいました。日に日に寒さを増していく秋の朝、まだ収穫を待っているビートや豆にはびっしりと霜が降りていました。太陽が顔を出すと、十勝川からは霧が立ち始めました。冬の足音がもうすぐ後ろまできています。
次第に道が不明瞭になり、やがて大型の重機の跡ばかりが目立つ河原に着きました。トビが木の枝で日向ぼっこをし、カモメがキューキューと鳴き、カモが車を見て一斉に飛び立ちました。よく見慣れた景色でした。
カモメがいるということは、サケもいるということです。水辺へ降りて行くと、とんがった背びれが時折跳ねるのが見えました。あぁ、よかった。本当によかった。
川霧が雲になろうかという頃、カラスよりも細長い、黒い影が飛び立ちました。ウミウです。カモメだけでなく、ウミウもここまでやってくるなんて知りませんでした。編隊の形を変えながら東へ向かって行きました。昼間は海へ帰るのでしょうか。今さらのように、十勝川の豊かさを教えてもらいました。
2016年10月17日
- カテゴリ
- 今週のヒューエンス
- 更新日
- 閲覧数
- 582