オシドリ
朝晩の冷え込みが厳しくなり、カモ類調査の季節となりました。今年は、鳥好きの社員も伴い、まだ北斗七星がくっきりと輝く時刻に集合です。
少しずつ白み始める東の空を眺めながら待つこと20分ほど、26羽の鳥が捕獲されました。そして、その中にマガモでもカルガモでもない1羽が。他のカモたちよりひと回り小柄なこの鳥は、1羽だけ網の目からぴょこりと首を出して、騒ぐでもなく不思議そうに辺りを見回していました。大きな黒目に印象的な白いアイライン、もしかしてと思っていたら、やはりオシドリのメスでした。この場所で調査を開始してから初めてのことだそうです。
オシドリと言えば、木々が生い茂った水辺を好むため、市街地では見かけることのない鳥だと思っていましたが、一緒に行った社員の情報によると、今年の夏に、この池で雛を連れたオシドリを見たそうです。そういえば、一昨年春の早朝、近くの住宅街を流れる小さな川沿いでもオシドリのペアを見かけたのを思い出しました。思いのほか、身近なところで暮らしているのでしょうか。林間の生息地が少なくなってしまったため、でないといいのですが。
鳥の調査では、身体の小さな個体から測定をして放すのが鉄則なのだそうです。小柄なオシドリのメスは真っ先に体長や体重、羽の長さなどが記録され、池に帰されました。見慣れたマガモやカルガモでさえ、間近で羽の模様や足の色、くちばしの色などじっくり眺める機会はなかなかありません。地味に見えるメスでも、近くで見ると本当に美しい模様をもっているのが分かり、もっともっと眺めていたい気持ちになりました。自然の造形美のもつ不思議な力に魅了され、忙しい平日の朝が、いつもより貴重なものとなりました。
2016年10月31日
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