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冬のスイッチ

 今日は立冬です。北国からの初雪の便りが届く頃、とのこと。ここ北国の帯広は、立冬より前に、この冬初めての積雪を記録しました。丁度この日、帯広を離れていた私は、積雪のニュースを見ながら、きっと太陽が出ればすぐに消えてしまっているだろうと高をくくっていましたが、週末まで置かれていた車の上には、硬く締まった雪がまだ残されたままでした。
 雪が積もった途端、冬はつらいし大変という言葉が、交わす挨拶に含まれるようになりますが、不思議なもので、そう言い合いつつも、最初に積もる雪は何か特別なもののように感じます。雪の量は多いのか少ないのか、暖冬なのか極寒なのか、たった一度降り積もった雪から予測しうるものではありませんが、この冬がどんなものになるのか、無意識に想像してしまう人は多いのではないでしょうか。
 思えば、遷りゆく季節の中で、これほど分かりやすい節目は他には思い当たりません。白い雪が大地を覆った途端に歩き方は変わり、車の運転も驚くほど慎重になります。冬モードのスイッチが完全にオンになるのでしょう。今回、初積雪に立ち会えなかった私は、浦島太郎のような心持ちで車の雪を落とし、凍った道を恐る恐るアクセルを踏みながら家へ帰りました。冬モードのスイッチは、切れる寸前の蛍光灯のように点いたり消えたりどっちつかずで、何やら季節に置き去りにされたような気分です。雪が積もるのか積もらないのか、はらはらしながら窓の外を何度も見に行く時間を、実は毎年待っていたのかもしれないと、初めて気づきました。

2016年11月07日

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