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食べるということ

 浸み出した地下水が岩壁を落ちるフンベの滝です。白糸のような流れは一部が凍り始め、氷のシャンデリアが少しずつ広がってきています。全てが凍った岩壁も圧巻ですが、静と動が混在する様子もまた幻想的です。
 温かい鍋料理が身にしみる季節になり、鴨鍋を頂く機会がありました。飼育された合鴨ではなく、猟で捕獲された野生の鴨というのですから、こんなチャンスは滅多にあるものではありません。一番味の良い種はどれか、どんなふうに調理したら美味しいかなどなど論じながら、鍋や炊き込みご飯、ローストされたカモが、次々にテーブルに並びました。実は、先日のカモ調査の打ち上げも兼ねたこの場に集まったメンバーは、鳥や野生動物の専門家ばかり。絶滅に瀕している種の調査や保護活動に携わっている方もいらっしゃって、その話を興味深く聞きながらも、鴨は美味しいお酒とともに絶え間なく皆の口へと運ばれていきます。
 こうして書いていくと、もしかしたら違和感を覚える人もいるかもしれません。野生動物を保護する人たちが野生の鳥を食べるということが、です。でも、きっと生き物の命を頂くということは、本当はこういう風にされるべきなのではないかと思いました。それがどんな鳥なのかをよく知っていて、どんな人が捕ったのかを知っていて、どう調理するのが一番良いのかを考えて、それを喜んで食べてくれる人たちと共有するのです。調理する側が真剣そのものなら、味わう側の美味しい、の一言にも心がこもります。その根底には、命を頂いているという、当たり前でいて忘れがちなことへの有り難さが、共通して流れているからなのかもしれません。

2016年11月28日

カテゴリ
今週のヒューエンス
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