光が射す
オレンジ色の大きな太陽が顔を出すと、それまで青白く澄んでいた空に、日高山脈の向こうから押し出されるように薄い雲が広がり始めました。太陽が高度を上げる時刻になってもまだ薄暗く、何だかすっきりしないものの、思ったほど風はなく、身構えるほど寒くもなく、気まぐれにぱらりと小さな雨粒を落とすくらいの雲です。
彼らはゆっくり、ゆっくりと東へ向かって流れながら、時折、その細い切れ間から光の梯子を下ろします。そのはかなげな筋は、広い太平洋のカンバスと交わると、驚くほど輝く帯をいくつも浮かびあがらせました。
光と雲と海と、特別なものはひとつもありませんが、でも何かがありそうな、何かを示しているような、何とも言えぬ不思議な空気が辺りを包みます。
光の帯は一つの大きな塊となったり、今にも消えそうに小さくなったりを繰り返しながら、再び太陽が傾き始める頃には、遠く東へ去ってしまいました。
2016年12月05日
- カテゴリ
- 今週のヒューエンス
- 更新日
- 閲覧数
- 560