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カムイヌプリ

 新しい年が始まり、さぁ、最初にどこへ行こうかと考えました。天気は良さそう、そして気温もぐっと下がりそう、ならば、と天気予報を見ながら思いついた先がカムイヌプリ、神の山です。でも、目的は山へ登ることではなく、霧氷にきらめく木々に囲まれた摩周湖を見ることです。絶対に見てみたい風景の一つとして、ずっと心の中にありましたが、なかなかチャンスに恵まれずにいました。最低気温がマイナス15度ぐらいまで下がりそうだと聞き、期待をふくらませながら早朝出発です。
 足寄町から阿寒町への道の途中、太陽が顔を出し、クリスタル細工のような木々が、惜しげもなく光を集めた景色にうっとりしっぱなしです。川霧が立ち込めた弟子屈の町はもっと幻想的で、黄金色に染められた空気の中に真っ白な森が広がっていました。摩周湖まではもう10キロ余り、きっとこのままの景色が続いているはずだ、とはやる気持ちを抑えながら向かいます。
 ところが、第一展望台へと車が坂道を上り始めると、晴れと予報された空には大きな雲がかかり、示し合わせたかのようにクリスタルの木々は消えていきました。まさか、まさか、信じられない気持ちのまま目的地に到着してしまいました。途中の景色がどんどんと期待を高めていただけに、いつもと変わらぬ摩周湖の姿に、落胆は相当なものでした。
 せっかくここまで来たのだから、とスノーシューを履いて歩き出しても、足取りは重いままです。深い雪に何度も足を取られながら進むこと2時間半、カムイヌプリへ続く中間地点辺りで、谷のように斜面が落ち込んだ場所に立ちました。道を覆っていた木々が視界の下となり、湖面と対岸が見渡せるようになりました。気がつけば、憂鬱に漂っていた雲もありません。人の声も獣の声も鳥の声さえも聞こえてこない静寂の空間に、真っ青な空と、真っ白なカルデラ壁を映した真っ青な摩周湖がぽっかりと浮かんでいました。
 あぁ、そうだ、摩周湖は山の神の湖。神様の宿る場所。
 
 八百万の神が宿るこの国にあって、その姿を感じる事ができるかどうか、それは自分の心ひとつが決めているような気がします。思うに任せぬことばかりでも、頭を上げれば沢山のものごとが目に入ってくるでしょう。それを素直に受け止め、感動し、そして感謝できる、そんな大きな器をもてるようになれば、もっともっと沢山のものを見る事ができるようになるはずです。広い広いこの大地で、今年はどれだけ神の姿を見つける事ができるでしょうか。

2017年01月04日

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今週のヒューエンス
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