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白い浜辺

 今月、ニューヨークタイムズにも紹介されたという豊頃町のジュエリーアイス。もう何年も前から、写真を撮る人たちの間では有名な場所だったそうですが、"ジュエリーアイス"という名前がついた途端に、ツアーが組まれるほど人気の場所となり、果ては海を越えてしまいました。名前の力は本当に大きいものだと、改めて驚きます。
 風の強い週末、ジュエリーアイスのシーズンにはもう遅いかな、と思いつつも、十勝川河口へ向かってみました。夕刻ということもあり人影も少なく、案の定ジュエリーアイスも既に大半が融けてしまっているようでした。やはり、と残念に思いつつも、久しぶりに出た砂浜を味わうべく、そのまま十勝川の方向へ海岸線を歩いてみました。
 ダウンジャケットにダウンズボン、耳あてと、防寒対策は万全のつもりでしたが、日が沈んだ後は想像以上に寒く、5分と経たないうちに唯一露出していた顔面の感覚が失われました。あまりの寒さにおかしさがこみあげたのか、ただ寒さで引きつっているだけなのか、自分でもよくわからない面持ちで歩いていると、「シャララーン、シャララーン」と不思議な音が。
 丁度そこは十勝川と太平洋との交わる場所で、飴細工のように透き通った氷の板が、沢山打ち上げられていました。打ち上げられてしばらく経ったと思われるものは、固まって白い氷の階段をつくり、打ち上げられたばかりのものは白い浜辺を作っています。見た目は割れたガラスのようにも見えるのですが、打ち寄せる波とともに奏でる調べは軽快で、耳に心地よく届きます。かすかにピンク色を残した夜空の下に浮かび上がる白い浜辺、やはり、寒いところに思わぬ絶景あり、です。

2017年02月20日

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