おすそ分け
冬越えのため南へ渡っていた鳥たちが、再び北へ帰ってゆく季節となりました。狩猟期間を終えた春の渡り鳥たちは、秋よりも少し警戒心が薄れるそうです。雪解けが進み、茶色い土が顔を出した場所に、鳥たちが集まっていました。双眼鏡と図鑑を交互に覗きながら、大きな身体はオオヒシクイ、くちばしのつけ根が白っぽいのはマガンか、などと調べていきます。近くの鳥たちは車の存在に気づいて、畑の向こうへ飛んで逃げるのですが、食べる事に夢中になっているグループは知らず知らずに近づいてきたりします。何100キロという距離を飛んで移動してきたのですから、お腹がぺこぺこなのは当然です。とにかく、今は食べる事に全力を注ぐ!という姿を見ていると、何やら楽しくなってきます。
そんな様子を眺めながら、十勝の小麦やトウモロコシは美味しいか、聞いてみたくなりました。鳥たちにとって、草木が芽吹く前のこの時期は、秋に収穫を終えた後に残ったわずかな落ち穂も大切な食糧となっています。そして数週間のうちに、再び大陸へ渡るだけの体力をつけなければなりません。収穫のおすそ分けが、命をつなぐ助けになっていることを知ると、良いものを作ることは、自分たちのためだけではないのかもしれないと思えてきます。
2017年04月10日
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