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赤沼

 待ち望んだ晴れの週末、この機会を逃すまいと外へ出かけた人が大勢いたことでしょう。もちろん私もその中の一人です。雌阿寒岳への登山口の一つ、野中温泉の駐車場は、早朝から既に車でいっぱいになっていました。誰もが、絶景をいの一番に望もうと鼻息荒く出かけていきます。太陽の力は本当にすごい!
 頂上に近づくにつれて見えてくるのはポンマチネシリ火口です。何年か前、青沼の写真を掲載したことがありますが、そのすぐ隣の火口にあるのが赤沼です。方や丸く美しい青い沼は清々しく、方や濁ったからし色の赤沼が今にも煮え立ちそうにこちらを見上げています。初めは誰もが青沼の青さに目を奪われるのですが、いつ登っても覗き見ずにいられないのが赤沼です。色の抜けた白い岩や赤茶けた岩が層をなし、シューシューと噴煙を上げ続ける深い火口には、イワツバメが飛び交っています。時に群れをなし、鳴き交わしながらダンスをするようにらせんを描いては赤沼の火口へと飛び込んでいきます。火口の周りには、まだ花をつける前のメアカンフスマが砂礫の地を這うようにところどころあるばかりなのに、小さな虫が驚くほど沢山飛んでいました。ツバメたちはそれを餌としているのかもしれません。こんな危険と隣合わせの場所でも、驚くほど生命力に溢れています。
 ぐつぐつとした火口を見ていると、太古の記憶が蘇えるような気がする、そんなことを思う人が多いそうです。火の山とともに地球を生きてきた頃の血が、私たちにも脈々と受け継がれているのかもしれません。

2017年06月19日

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今週のヒューエンス
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