野の宝石
北から張り出した高気圧の影響で、お盆休みは一気に秋模様となりました。冷たい雨が毎日のように降り、お彼岸のお墓参りだったかな?と思ってしまうような寒さです。小さな白い花を満開にしているソバの畑を見かける度に、これから収穫を迎える作物が心配になってしまいます。
一足先に秋の準備が進んでいる野の植物たちは、着々と実を結んでいます。クロバナハンショウヅルは、羽毛状の花柱をゆるりと延ばし、雨の粒をシャンデリアのようにまとっています。
こちらはツバメオモトです。赤い実や紫色の実をつける植物は沢山ありますが、青い実をつける植物はあまり見かけません。ひよこ豆ほどの大きな青い実はあまりに艶やかで、見つける度に宝物を探し当てたかのような嬉しさを覚えます。ツバメオモトは、雪解けが始まるとすぐに可憐な白い花を咲かせることは知っていました。春の花たちが賑やかになる頃にはもう姿が見られないので、スプリングエフェメラルの一種かな、と思っていましたが、花を終えた後も数ヶ月かけて栄養を蓄え、今、実りを迎えたということなのでしょう。花が咲いたらすぐに実が生る、そんな単純な時間の流れではないことに気づいて、少しだけ、その青色の奥深さに触れた気がしました。
思えば、次に繋ぐ命が輝いているのは当然のことかもしれません。先日食べたトウモロコシも、真珠のような実をしていました。今まで気づきませんでしたが、放つ光が真珠のように美しく、茹でるのをしばらくためらってしまったほどです。実りの秋、あちこちにちりばめられている宝石を探し出すのが楽しみになりました。
2017年08月16日
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