妖精の粉
太陽に温められた昼の空気は、風のない夜、満天の星たちに吸い寄せられるように上へ上へと向かってしまうようです。透き通った青空に明るい光が射し始める頃、気温はマイナス20度。十勝の冬らしい、混じりけのない寒さです。
こんな時はもっと寒いところへ向かってみたくなります。街を抜け、少し郊外に出れば2〜3度は下がります。川辺に差し掛かれば、車の中にいても更に冷えた空気を感じます。こうなると、寒いことそのものが楽しく思えてきます。
風もなく、忘れた頃にしか車の音も響かない道端で、遠くのまた近くの山を眺めていました。霧氷に覆われた白樺の木々がいっそう透明感を増し、まさに白銀のおとぎ話の世界です。日の出からしばらく経ち、気温が上がったのでしょうか。木の枝を覆っていた霧氷が、次々と舞い始めました。氷の粒は、光に透かして見なければ気付かないほど小さく、まるで妖精の粉のようにきらめきながら、ゆっくりと降り注いでいました。
とけるのではなくて、降るものだったのか・・・、知らないうちに町中に魔法の粉を振りかけられていたのなら、どうりで寒い日には心が弾むはずだ。夢見がちなことが頭に浮かび、我ながら可笑しくなりつつも、でも妙に納得してみたりしました。
2018年01月15日
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